研究を、基準からつくる。 代謝物科学の、新しい基盤をつくる。

腸内細菌は、私たちの体の中で多様な分子を生み出しています。
NOSTERは、その分子を参照可能な単位として捉え、分子と生体の関係を読み解きます。
知見を比較し、共有し、次の研究へつなぐための基準を、代謝物科学からつくります。

研究の起点 Research Origin

分子としての腸内細菌の発見

腸内細菌による脂質代謝の研究から、リノール酸が特定の代謝物へと変換される経路が解明されました。

この研究により、腸内細菌が「宿主との関係が報告されている分子」を生み出す存在であることが明確に示されました。

この発見は、腸内細菌研究を「構成(who)」から、「機能(what molecules)」へと転換させるものでした。
NOSTERの研究は、ここから始まっています。

この発見は、単なる新規分子の同定ではありません。
腸内細菌という存在を、「構成要素」ではなく、機能を持つ分子生成システムとして捉え直す転換点となりました。

従来の研究が「どの菌がいるか」にとどまっていたのに対し、この研究は「何が生み出されているか」という軸を提示しました。

ここに、代謝物科学の出発点があります。

腸内細菌が、脂質を代謝物へ変える。食事由来資質は、腸内細菌代謝を介して代謝物へと交換される。

代謝物科学 Metabolite Science

代謝物を基準として扱う科学

代謝物は、単なる測定対象ではありません。

同じ分子であっても、生成文脈、測定条件、比較前提が異なれば、研究としての意味は変わります。
NOSTERは、代謝物を「定義・粒度・比較可能性」まで含めて扱うことで、研究を参照可能な状態として成立させます。

この思想は、Noster Metabolite Reference Program (NMRP)へと発展しています。

従来の代謝物研究は、測定結果の積み重ねに依存してきました。
しかし、定義されていない分子、統一されていない測定条件、比較できないデータは、時間を超えて蓄積されることはありません。

その結果、研究は再現されず、議論されず、知識として残らないまま終わります。

NOSTERは、この構造そのものを前提から見直しました。
代謝物を「測定対象」ではなく、定義・粒度・比較可能性を持つ参照単位として扱います。

ここに、従来研究との決定的な違いがあります。

作用機序 Mechanism of Action

分子から生命現象へ

腸内細菌由来代謝物は、宿主応答と関係することが報告されています。

  • 腸管バリア機能

  • 免疫・炎症応答

  • 代謝制御

これらは独立した現象ではなく、分子を起点とした連続的な生体応答です。
特定の脂質代謝物について、受容体との関係および細胞応答変化が報告されており、腸内細菌と宿主の関係は、分子レベルで再定義されつつあります。

腸内細菌由来代謝物が、生体応答を動かす。腸内細菌由来代謝物は、受容体を介して細胞と生体の応答を調節する。

技術基盤 Technology Platform

研究を成立させる基盤技術

代謝物科学は、発見だけでは成立しません。
再現性と比較可能性を担保するための技術基盤が不可欠です。

これらの技術は、測定精度を高めるためのものではありません。
研究を「再現可能にし、比較可能にし、次の研究へ接続可能にする」ための前提です。

つまり、技術とは結果を出すための手段ではなく、研究を成立させる条件そのものです。

  1. バイオ合成技術

    • ヒト腸内由来菌を含む大規模微生物ライブラリ

    • 厳密嫌気培養・機能スクリーニング

    • 微生物による代謝物バイオ合成

  2. 代謝物科学

    • 代謝物ライブラリ(約300種)

    • LC-MS / MSによるリピドミクス

    • 代謝経路の解明

  3. マルチオミックス統合

    • メダゲノミクス × メタボロミクス

    • 代謝ネットワーク解析

    • バイオマーカー探索

これらは個別の技術ではなく、研究を前提から成立させるための構造として統合されています。

研究は、構造によって成立します。

研究を支える三層技術基盤 3つの技術基盤が、NMRPによる研究参照を支える。基盤技術の統合が、研究から社会実装までをつなぐ。

この構造は、NMRPとして実装されています。

研究ネットワーク Research Network

研究を世界に接続する

代謝物科学は、単独では成立しません。
基礎研究、臨床、解析、創薬。
異なる領域が接続されて初めて、分子は社会へと届きます。

国内連携
京都大学、慶應義塾大学、神戸大学、静岡県立大学など、多領域の研究者と共同研究を推進しています。
国際連携
Harvard University, Stanford University, Cleveland Clinic, Karolinska Instituteなど、世界的研究機関との共同研究を展開しています。
研究ネットワーク 日本国内の連携 ・京都大学 ・慶應義塾大学 ・神戸大学 ・静岡県立大学 ・和歌山県立医科大学 海外連携 ・ハーバード大学 ・スタンフォード大学 ・ニューカッスル大学 ・クリーブランド・クリニック ・カロリンスカ研究所 ・ヘブライ大学 分野・機関・地域を超えた連携が、研究を世界へ広げる。

Science誌との連携 Science Partnership

NOSTER & Science Microbiome Prizeを通じ、次世代研究者との接点を創出しています。

この取り組みは、単なるネットワーク形成を目的としたものではありません。
研究の評価、共有、議論のあり方を含め、代謝物科学の前提を外部へと拡張する試みです。
研究は、個別の成果ではなく、接続されることで初めて意味を持ちます。

その接続の場として、本Prizeは位置づけられています。

主要論文 Key Publications

研究の基準としての論文

  • 2013
    腸内細菌によるリノール酸代謝経路に関する研究
  • 2015
    腸内細菌由来脂質代謝物と宿主応答に関する研究
  • 2019
    HYAと宿主応答に関する研究

これらの研究は、代謝物科学の基盤として位置づけられています。

研究は、発見で終わりません。
定義され、比較され、
次の研究へ接続されて初めて、知識になります。
NOSTERは、その前提を設計する側に立ちます。