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INTERVIEW網羅的な脂質解析から
見いだされるHYAの可能性。

慶應義塾大学薬学部 代謝生理化学講座 教授
理化学研究所 生命医科学研究センター メタボローム研究チーム
チームリーダー
有田 誠MAKOTO ARITA

1997年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了(薬学博士)。同研究科の准教授を経て、現在は慶應義塾大学薬学部代謝生理化学講座教授。理化学研究所生命医科学研究センターメタボローム研究チームリーダーを兼任。日本脂質栄養学会ランズ学術賞受賞。

全身の制御に関わる
脂質代謝物の重要性

私は、HYAの作用機構の理解にもつながる「脂肪酸代謝ネットワークによる生体制御およびその制御破綻による疾患メカニズムの解明」の研究に取り組んでいます。HYAは、食事として摂取されたリノール酸が乳酸菌など腸内細菌によって代謝されて生成する機能性物質です。これら一連の脂肪酸代謝物は、体内で複雑かつ多様な代謝ネットワークを形成しており、慢性炎症やメタボリックシンドロームなどの病態に影響を及ぼすことが知られています。

革新的な解析方法が
新物質の発見を可能に

腸内細菌の代謝物に着目したポストバイオティクス®は、創薬やヘルスケアに大きな発展をもたらしうる新領域です。ただし、その実用化において不可欠なのが、「数多くある代謝物のうち、どれがどのような経路で、身体にどう機能するか」を把握すること。私たちは、従来研究のおよそ10倍とされる、約8,000種もの脂質を区別できる画期的な解析技術を構築。これによってHYAをはじめとする新規代謝物質が発見される可能性が広がりました。

代謝機能を改善する
脂肪酸代謝物HYA

HYAは、腸内細菌である乳酸菌が生みだす脂肪酸代謝物のひとつ。腸炎の抑制や代謝機能の改善に関わるとして、研究者たちの間で大いに注目を集めています。もちろんHYA自体はこれまでもヒトの腸内に存在し、健康を支えてきました。しかし、私たちが構築した解析技術を用いるまでは、どこでどのような量が生成され、どのような機能を持つのか、明らかになっていなかったのです。

さらなる発見を
代謝性疾患の制御へ

私たちはこれまでも、炎症や代謝性疾患(糖尿病・肥満症など)の制御に、脂肪酸代謝バランスが重要であることを明らかにしてきました。脂肪、というと身体に良くないイメージが先行しますが、たとえば、私たちヒトの細胞ひとつひとつを覆っているのも脂質の膜。多種多様な脂質が、全身のあらゆるところに適切な代謝バランスで存在することにより、生命活動は支えられています。私たちの解析技術が、人類の健康にさらなる発見をもたらすことを願っています。

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